2006年07月28日

漢方

  わが国で「漢方」というとき、大きく分けて2つの流れを考えなければならない。一つは、中国から伝来した医学が日本独自に展開した、いわゆる「漢方」と、本家中国における「中医学」である。また日本漢方としても、大きく二派に分けることができる。「後世派」と江戸期に勃興した「古方派」である。現在は、中医学を含め、それぞれの系統の単独継承もあるが、一般には折衷・統合されたかたちで実践されている。また、これらから発展した形で、近年、「経方理論」などの新理論も誕生している。

一般に漢方は、細粒の「エキス剤」と生薬を煮出す「煎じ薬」が使われることが多いが、それ以外の剤形も増加している。医療現場においては、その利便性から「エキス剤」が一般化しているのが現状である。どちらにしても漢方的な診断である「証」など東洋医学的診断により処方されることが望まれる。単純な病名と処方との対応では不十分といえる。そうした意味でも、しっかりとした伝統医学的思考に基づいた処方を受けることが必要になる。また、漢方処方の良い点は、オーダーメイドである点である。症状や症候にもとづいて、構成生薬を考慮しながら加減していくことが最も理想的であるといえる。ひとりひとりにきめ細かく内容を考慮することこそ、漢方の最大の強みともいえよう。そのためにも必要であれば、面倒ではあるがエキスよりも煎じ薬が、より適しているであろうことは言うまでもない。天然の植物の持つ癒しの力を取り入れる、という点でも煎じ薬は魅力的である。統合医療の観点からも、最大級の治療体系であるといえよう。

 

メカニズム

生薬の有効成分や相互作用による薬理効果。

 

メリット

現代医療的病名を越えて、独自の診断システムにより治療が可能。加減によりオーダーメイドの処方が可能。わが国においては馴染み深い治療方法。



tougouiryo at 18:22│統合医療各論:漢方