2006年08月18日
統合医療的漢方入門(1)
世界の様々な伝統医学には、それぞれに異なる生体観があります。たとえば、中国医学では「気・血・津液」、アーユルヴェーダでは「ヴァータ・ピッタ・カファ」といった生命の構成要素により成り立っていると考えています。それらは科学的には何にあたるの、というような疑問はもたず、そうした科学的概念のない時代の見方にこちらから近づいていくようにするのも、こうした伝統医学の理解には不可欠です。
これらの中でも特に、際立ったもの、つまりは伝統医学特有の概念は「気」「エネルギー」と称されるものでしょう。生命を生命たらしめているものの概念であり、それぞれの伝統医学における根幹をなすものともいえるでしょう。それゆえに伝統医学を学ぶ際にこうした概念は、最も興味深く感じる人も多い反面、難解さを感じる人も少なくありません。ある意味で相補代替医療を学ぶ醍醐味がある、とも言えるでしょう。
まずは、漢方特有の生体の3要素になれるようにしましょう。生体を皮膚、筋肉、血液、骨格…というようには分けずに、気・血・水の3つに分けるように考えます。
・ 気…生命エネルギー
・ 血…生体を構成する赤い液体
・ 水…生体を構成する透明な液体
各要素において、それぞれを以下の観点から考えてみます
・ 量の多少
・ 流動性の悪化
・ 病的偏在
自分の体を、気・血・水の3要素でみる訓練をします。(気・血・水メガネでみる)
どの成分が、どのようであれば「健康」ですか。
いきなりどの処方がいいのか、という観点ではなく、まず、生体をどう見るかという観点が先であるはずです。次にそうした見方に基づいて、処方が決定されていくべきです。
処方の構成を考えるとき、「作る側」に立って考えることも時に必要です。
付)陰陽の理解について
陰陽五行は中国医学において大変重要な概念です。あくまでも相対的なものとして、何が陰で、何が陽であるのか、具体例で考えてみることも大切です。これを通して、中国伝統医学におけるモノの見方が理解できるようになるのではないでしょうか。