2006年08月29日

統合医療的漢方講座(2)

五行と六病位

 

 陰陽の概念から、東洋医学、中国医学の考え方の基本を学び、気・血・水の概念から中国医学特有の生体の概念を学習しました。それでは次の見方、五行はどのように考えればよいでしょうか。これは5つの類型に人を分類する方法と見ることができます。つまり、体調と性格の両面から大きく5つに分類することになります。すべてが、この5つにきれいに分類されるわけではありませんが、それらの複合したものと考えれば、かなりの適応が可能であろうと思います。五行に対応するそれぞれのタイプを見てみましょう。自分はどれとどれに一番近いでしょうか。

 

「木」・・・イライラした怒りと緊張の状態  怒りによる陽性のストレス状態・不穏

「火」・・・傷つきやすく神経質で心配性  焦燥感による動悸・不安・不眠

「土」・・・ウジウジといつまでも考え依存的  神経性の消化不良・胃もたれ・下痢

「金」・・・憂鬱で後悔も多く悲観的  虚弱をベースにした呼吸器疾患・咳・鼻水

「水」・・・無気力で自信喪失、漠然とした不安  疲労・老化をベースにした気力低下

 

五行のそれぞれの相関関係が相生・相克となります。この関係性から、ただ単に5つに分類するだけでなく、違った角度からのアプローチをも可能にします。そしてそれらを元の健やかな状態へと戻していくことができます。それでは元の健やかな状態とはどのようなものなのでしょうか。理想的な五行の状態を見てみましょう。

 

「木」・・・相手に同情心を持てる、適応力のあるまとまった性格(同情)

「火」・・・愛情ある、繊細な楽しい性格(愛情)

「土」・・・相手に共感できる、思慮深い性格(共感)

「金」・・・相手に敬意を払える会話好きな活力ある性格(敬意)

「水」・・・知恵のある臨機応変で賢明な性格(知恵)

 

以上が体質のタイプ別としての五行の概略です。それでは次に、六病位はどうでしょうか。これは病に対する生体の対応と考えられます。つまり、何らかの生体に対するストレスへの対応の違いと言えるでしょう。対応力の強い三陽と、弱くなっている三陰の6通りの対応に分けられます。本来の古典的意義としては、病の進行のステージ的意味合いが強いのですが、日本漢方のとらえ方では慢性疾患にも適応される概念だけに、広く対応の違いとしてとらえる方がいいようです。「ステージ」より幅を持たせた理解をすべきでしょう。

 

ここで、ここまでの基礎概念をまとめてみます。ただの総論ではなく、実際に人を診るときにどのように応用されるのだろう、という観点で見直してみることが必要です。今までの理解と比べてどうですか?

 

陰陽:二元論に基づく世界観(二元論でみる)

気血水:生体を構成する三要素(生体の構成要素からみる)

五行(五臓):体質の5パターン(性格・体質別でみる)

六病位:疾病への対応の6パターン(対応法の違いでみる)

 

これらの見方を駆使して、実際には漢方相談に当たります。人をどのように見るか、そこからして違いがあることを知っていただくことが重要です。



tougouiryo at 22:41│統合医療各論:漢方