2007年03月03日
慢性疲労の漢方について思うこと
今回は疲労について考えて見たいと思います。一般の診療においても疲労は成人の約3割に認められる症状で、六ヶ月持続したものを慢性疲労と呼びます。このような状態のときに用いられる漢方薬に「補中益気湯」が有名です。
いわゆる「慢性疲労症候群」はさらに集中力低下やのどの痛み、関節痛などの諸症状が新たに発症したもので、慢性疲労のごく一部にしかあてはまりません。(10%未満といわれています)つまりすべての慢性疲労にあてはまるものではないのです。
一般に疲労は精神の状態に原因があるといわれ、内科疾患が原因のこともすくなくありません。つまり内科的な疾患が改善されるにともなって改善するものも少なくないのです。
そこで慢性疲労に関しての統合医療を考えてみると、いわゆる原疾患を治療することが優先されるのはいうまでもありません。またそれは、いわゆる西洋医学的疾患でなくても、東洋医学的疾患でもいいわけです。つまり「補中益気湯」に限らずとも、東洋医学的診断によって他のものでもいいわけです。つまり血虚が加われば十全大補湯でも四物湯でも可能性があるのです。
このように病名(症状名)が同じでも処方や対処法が異なる例は、統合医療では普通です。だから一人ひとりの症状によって対応策をかえなければいけないというわけです。これが私のクリニックで時間を十分とる理由でもあるのです。
tougouiryo at 17:53│Comments(0)│疾患解説:どんな病気で統合医療にかかればいいの?