2007年03月22日

世界の伝統医学(2)

 それでは、世界の伝統医学を今回からざっと概観してみましょう。それぞれの医学の独自なところと共通点などを考えながら、世界の医学の全体像を捕らえてみましょう。インドの伝統医学であるアーユルヴェーダがはじめです。

 アーユルヴェーダとは、アーユス(生命)とヴェーダ(科学)の合成語で、言ってみれば「生命科学」とも訳せるものです。伝統医学のなかでは最古の部類といえ、その起源は紀元前6000年頃と言われています。アーユルヴェーダは、生体における様々な反応を、三つの機能「トリ・ドーシャ」で説明する独自の生命観を持っています。

 トリ・ドーシャはヴァータ、ピッタ、カファ、の3種類に分類されます。3つのドーシャをみていきましょう。ヴァータは、空と風により成り、運動・循環・蠕動のエネルギーにあたります。次にピッタは、火と水により成り、変換・消化・代謝のエネルギーとされます。最後にカファは、水と土により成り、結合・分泌・構造維持のエネルギーとされます。各人の体質は、これら三要素の配分により決定され、そのバランスが健康を左右するわけです。

 また、アーユルヴェーダは内科的な面のみならず、外科的な面でも大きく発展しており、12世紀に著されたアーユルヴェーダの教本では、白内障・痔・ヘルニアの治療や美容形成手術、腎臓・胆石摘出手術の技術についての記載まであります。伝統医学を何か、未開の医療のように感じていた方には驚きでしょう。今日でも、インドの数億ともいわれる人々の健康を担っているといわれる、アーユルヴェーダの魅力は今後ますますわが国に紹介されることでしょう。

 

 さまざまな伝統医学を考えるにあたり、その基本とも言える位置にあるのがアーユルヴェーダといっても過言ではないものなのです。

 



tougouiryo at 19:25│Comments(0)統合医療あれこれ 

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