2007年06月02日
腰痛 こんなときどうする?
腰痛には、椎間板ヘルニアや変形性脊椎症、骨粗しょう症による圧迫骨折など原因のはっきりしたものもありますが、原因の特定されないものも少なくなく、生活環境やストレスにも大きく影響されます。
東洋医学的には、冷えによる血行不全によるものも多く、ゆったりとした「入浴」は治療において非常に重要なものになります。当クリニックでも重点的に指導するのはこうした理由があります。
また、無理な姿勢による業務や、自分の足に合わない靴(中敷)など日常生活に密着した原因をもつことも少なくありません。こうした日常の見直しも大変重要なことです。
また筋の弱りから腰痛に至ることも少なくないので、腹部ならびに背部の筋力アップを図ることも重要です。とくに腹部には骨格がないので(あたりまえですが…)筋による体格の維持は重要になるのです。
代表的な漢方薬を見ていきましょう。ギックリ腰のような突然の痛みには芍薬甘草湯がいいでしょう。幅広く痛みに対応できる処方です。老化をベースに腰痛には八味地黄丸、桂枝加朮附湯が適するでしょう。また、瘀血をベースにしたものには桂枝茯苓丸、さらに下半身の冷えが強ければ、五積散が適するでしょう。全体としてまとめると、老化をベースにしたものには補腎剤、筋肉などの血行不全をベースにしたものには駆瘀血剤が処方され、腰痛に対処されます。
ツボとしては圧痛点に加えて、腎ユ、大腸ユ、環跳など膀胱経、胆経を中心とした経穴が選ばれます。
サプリメント・栄養の観点としては、老化に関するものとして骨粗しょう症対策がなされます。カルシウムやビタミンDの経口摂取も効果的です。また軟骨再生を目的とするグルコサミン摂取も効果的とされます。
アロマセラピーとしては、キャリアオイルとともにヨーロッパアカマツ、バジル、ウィンターグリーンなどを患部に塗布も効果的です。緊張がベースになっているものにはイランイランなどリラックス系の芳香も試してみたいところです。
ホメオパシーとしては、筋肉や関節に対しては、ルストックス(温めると改善する使いすぎの症状)やルータ(比較的小さな筋肉・関節に。眼精疲労を伴うものにも効果的)が代表的なレメディーとなります。ただし、仕事など、個人の事情に密接に関連したものも多いので、たかが腰痛と言えず、くわしいカウンセリングを要することも実際は少なくありません。セルフケアで思ったほどの効果が上がらない場合は、専門家に相談されることをお勧めします。
腰はまさに体の「要」のところです。日常生活など、無理な点がないか、改めて再確認させるための体の警告と捉えられるかもしれません。そうした根本原因を探る試みもとても大切です。