2007年11月29日

医師不足が招く医療崩壊

 現在の医療問題に関して、医師不足の観点から説く、衝撃的な題名の本が出ていたのでご紹介します。著者は、鈴鹿医療科学大学の永田宏教授。医師の中では、それほど珍しい話ではなかったのですが、一般向けに分かりやすく、データを挙げて、現在の医療問題を解説している点は、題名の印象とは異なり、メッセージ性の高いまじめな本です。現在の医療について考えたい方には一読をお勧めします。

貧乏人は医者にかかるな!―医師不足が招く医療崩壊 (集英社新書 413I)
 マイケルムーアの「シッコ」を見たとき、アメリカは悪いが、イギリスは良い、というような印象を受けるつくりだったのが気になりましたが、その両者の問題点にも触れていて、それでいてわが国特有の問題にも書かれているバランスの良い内容に感じました。

 医師不足や、保険診療のさまざまな問題、そうした中で、短時間の診療を強いられる医療現場はある意味、仕方ない面もあります。ただ、満足度の高い医療を提供したい、されたい、という希望も当然の要望と思います。そうした中で、これまでは「美容」など一部の領域だけでした自由診療ですが、この広がりにも、こうした背景があるわけです。

 私のクリニックをはじめとして、こうした事情(この本のテーマの医師不足だけでなく混合診療にかんしての問題など)を理解していただくのは一般にはまだ難しいことですが、こうした書籍などでだんだんと一般の方々の理解が進むことが望まれます。これを読んで「当クリニックの自由診療の理由」といった項目をHPに載せることを決めました。



tougouiryo at 20:27│Comments(0)いわゆるブログ! 

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