2017年02月26日

ジャングルカンファレンス:対話の重要性について

 先日、ご紹介した長沼先生の記事のもととなった雑誌↓を購入して読んでみました。

WIRED VOL.27/科学のゆくえを問う大特集「Before and After Scienceサイエンスのゆくえ」
Conde Nast Japan (コンデナスト・ジャパン)
コンデナスト・ジャパン
2017-02-13


  もともと科学哲学の分野に興味があるので、全体的に面白く読めました。通常の科学に関する言説とは、異なった「科学」の限界と今後の課題について、さらりと写真たっぷりで述べられており、全体としてもとてもきれいな雑誌です。

  統合医療というものを、何か特別なロマンティックなものとして捉えたい向きには向かないでしょうが、医療、そして科学というものの考え方の限界や将来像などから統合医療を構築していこうとする向きにはとても参考になるのではないでしょうか。

 全体としてはジャングルカンファレンスの解説時に述べることですが、唯一の真理や正解を求めるのでなく、また議論により打ち負かして結論にいたるのでもない、「対話」という方向の有効性 が、科学の将来像にも求められているということが多く論じられています。

 長沼先生同様、独立科学者として活動するルパート・シェルドレイクの記事は特に印象的でした。学生のころシェルドレイクの著書を読んだきりで、そのころの略歴の写真からずいぶんお年を召された感じでした。



物質主義に偏する現代科学について、10の疑問を挙げた中で、特に印象的なのが
・自然は機械か?
・機械論的な医学は絶対なのか?
等の問いです。そしてビジネスと化してしまった科学を批判していきます。
 では、どのようにしていけば良いのかという疑問に関して、 意外な結論で締めくくられます。

「トップダウンのシステムのなかから、新しい科学は生まれない。たとえその芽が開いたとしても、その是非を問う議論によって、強制終了されてしまうからだ。より開かれた科学を実現するために必要なのは議論でも結論でもなく、対話なのだ」 

  ここで科学を医療に置き換えると、まさに我々にもピタリとあてはまります。統合医療というシステムはまさに大きな組織で展開するよりも、その良さを残しながら地道にボトムアップしていくことでしか広がらないのではないか、という気がしています。

 そのためにこの秋には、安易な一元論的な科学主義にのらない、独自路線での「多元的統合医療研究会」を発足する予定です。そこでは結論へ突き進む議論ではなく、対話による医療のモデルを模索する会にしていきたいと考えています。多元は、統合の前段階などではないということを強く主張していきます。(ちなみに多元を統合の前段階として捉えている論者は、すべての宗教は多神教から一神教に至ると信じる欧米的価値観に皮肉にも知らぬ間にどっぷりとつかっているといえるでしょう)

 多元的ということをいくら説明してもイメージできない人に対しては、実際に作って見せてしまうのが最も近道です。シェルドレイクの説く「対話」を医療という場面でどのように展開していくか、ご興味ある方は、まずはジャングルカンファレンスからご参加ください。ジャングルカンファレンスのメーリングリストから「多元的統合医療研究会」のご案内を差し上げる予定です。 


tougouiryo at 07:00│Comments(0)いわゆるブログ! 

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