2020年03月16日

みんなで治る

 統合医療の重要性の一つに、セルフケアの重視があります。つまり、自分で治す、ということです。確かにこれは素晴らしいことですし、医療の理想といってもよいでしょう。
 しっかりとした情報を入れ、先入観に惑わされず、合理的(科学的)に考えることができるのであれば、極めて有効であることは言うまでもないでしょう。ところがここが難しいところです。果たして自分にそれが出来ているのか、どのように判定すればいいのか。こうした質問に答えることは容易なことではありません。

 先日、セラピストの方から質問を頂きました。クライアントさんが、ある栄養素を大量にとっているんだけど大丈夫なのでしょうか、というものです。これには、当然、その栄養素の種類によるので、一概に答えがあるわけではなく、ビタミンCであれば、大量に(概ね下痢する程度)とることで治療に十分な量と考えることもできます。しかし、そうではない、一般的には大量にとっては害がある可能性があるというものもあります。また組み合わせによっては大丈夫、ということもあれば、病態によっては大丈夫ということもあるでしょう。しかし、一般にそうした状況を、誰もが簡単に判断できるわけではありません。
 だからと言ってすべて医師の指導のもと、というのも過剰な「医療化」となってしまいます。このところのバランスが非常に難しいと思います。答えはないのですが、自分の身体に聞く、自分で正確に効果を判定する、ということに尽きるのではないでしょうか。

 よくある光景として、一つの治療法や考えに固執しているにも関わらず、まったく改善しないかどころか増悪しているというケースがあります。こうした改善が見られないときは、やはり医師など専門家という他力を頼ることも重要なのではないでしょうか。また、いろいろと自分で調べたものが、主治医と違う場合、そこから距離を置く方もいるでしょう。どれが正しいのか、と考えると混迷を深めるばかりです。

 こうしたとき少し考えたいのが、「みんなで考える」という姿勢です。いろいろな人の意見を聞き、それに影響されながら、自らが決定していく。一見、自分で決定していることと同じようですが、ひとは意見を聞きながら考えるうちに、我知らず、大きな影響を受けるものです。徹底して考え、みんなの意見の中で、最終決定をしていく、そうしたサポートをしながらいろいろな健康の在り方を応援できるクリニックにしたいと考えています。これが身心工房リボンとともに掲げる「みんなで治る」の基本コンセプトです。

 こうした問題は、非常に難しいニュアンスがある問題ですので、また機会を改めて、ここで論じてみたいと思います。

 


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