2020年03月17日

三石理論における分析と総合

 三石巌先生の『医学常識はウソだらけ』を読み直していたら、まえがきにおいて渡部昇一先生が興味深いことを書かれていたのでメモしておきます。

三石理論を読むと、それが科学至上主義の唯物論であることが解る。(中略)人体を一つの物理化学的反応体系として徹底的に考察せずして、真の栄養学は生まれないであろう。私は唯物論者ではないが、唯物論的にも考えることが出来ない人は科学者でないと思っている。

 とあります。ともすると統合医療の分野は、過度のオカルトに引き込まれる可能性を十分持っているだけに(これは各自で相当姿勢の違いがありますが…)大きな警鐘とすることもできる言葉です。まあオカルトをどう定義するかなど、実際はそう簡単ではないでしょうが、分子栄養学、オーソモレキュラー、といった分野が、こうした唯物論的精神によって大きな成果を上げたこともまた事実でしょう。
 いわゆる現代医学以外が、すべてオカルトであるかのような構図でこの統合医療という領域を捉える方には少し混乱するかもしれません。しかし、合理的な精神をもって、医学という幅広い世界(三石先生は医学は科学ではない、と喝破していますが…)を見ていくことは、統合医療にとって大変重要なことだと思います。

 こうした三石理論と、現代医療の思考方法の違いを(勝手に)比較してみると、分析と総合、という哲学的方法の違いに影響すると思います。昨今のEBM重視の流れは、統計学的方法を前面に出したいわば「総合」的な方法です。これに対し、分子栄養学やオーソモレキュラーの立場は、「分析」の立場を徹底しているように思います。そして分析を徹底した後に、現実の臨床効果を、統計的ではなくプラグマティックな「総合」により進展していっているという感じでしょうか。三石先生はそれを「検証」という言葉で、前掲書のなかで次のように表現しています。

科学であるためには「検証の精神」が不可欠であり、「検証」とは仮説を実証する科学的手続きのことである。だが、人間の生命に関わる分野であるだけに、昔からこの「検証」という手続きが曖昧なままに放置されてきたのである。

 として現状の医学批判を展開されています。我々は、「医学」といわれる領域をもう一度、捉え直すことで、各々の生命をより輝かすことが出来るのではないでしょうか。三石理論は、唯物論の立場からそうした視点を、今に至っても提供し続ける力強い理論といえるでしょう。



現在のオーソモレキュラー、分子栄養学の隆盛の基盤となった著者による一般書です。ご一読をお勧めします。


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