2020年03月20日

プラグマティズムの重要性

 医療における「統合医療的転回」において重要な要素が、多元主義とプラグマティズムである、という主張を展開したのが以下の拙著です。多元に関しては、理解しやすいので多くの方が納得していただいているようなのですが、プラグマティズムの方がちょっと、という方は多いようで時に質問されることがあります。




 人によってはプラグマティズムを科学的検証と同一として捉えて、EBMと同じだ、と極論する方までおられます。完全に間違いではないのですが、しかしEBMを統計的なエビデンスのみと考えると、やはり異なっているといわざるを得ません。
 これは記述統計とベイズ統計との相違にも少し似ているところがあります。医療におけるベイズ統計の使い方としては概ね事前確率をざっくりとした数値で予測します。これをもとに何らかの臨床的な決断に移るわけですが、臨床現場としては、こうした使い方が適しているわけです。プラグマティズムに基づくという点もこれに似ています。
 一例一例の経験を、論文といった形に限定されず、個人的経験も含めて積極的に臨床応用していくというものです。これにより大規模スタディでは見えてこない方法論を取ることもできるわけです。

 以前、ここでご紹介した「三石理論」における「検証」といったプロセスはこれに近いように思っております。現状の大きな統計データにのみ縛られることなく、じっくりと推測した方法論により、その結果を丁寧に観察していく、一見すると科学の基本のような姿勢なのですが、なかなかに忘れられがちな姿勢でもあります。
 こうした姿勢を前面に押し出したものがプラグマティックメディスンと私が呼ぶもののイメージに近いのではないでしょうか。

 そのためには、現状の解剖生理学における、病態をとらえるアクティブな知識が不可欠になります。そうした知識を得るためにも解剖生理学の学習が必要になってくるのではないでしょうか。ただし現状では統合医療的な臨床に必要な解剖生理学の枠組みが提示されていないため、明確でない点はありますが、今後こうした枠組みを示していく試みもしていきたいと考えています。


tougouiryo at 06:00│Comments(0)いわゆるブログ! 

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