2020年04月13日

To Go 解剖生理学 吸収系(消化器・呼吸器)

今回から統合医療的に解剖生理学をまとめてみたいと思います。施術や東洋医学的な視点からも参考になるような形で、学習の指針を示していきます。自学自習の参考にしてください。

 吸収系はいわゆる、消化器系と呼吸器系であり、各々栄養と呼吸をつかさどる器官で、共に「生命の炎」を燃やすところと考えることが出来る。つまりこれがミトコンドリアでのATP生成の源となる。

 腸管は「鰓腸」といわれる器官から進化したもので、そこから、生命体が上陸し空気中の酸素を取り入れる呼吸を行うために、一部が膨隆して、肺が形成されてきた。つまり腸管から付随するような形で、呼吸を行うために肺が形成されてきたのである。これが消化管である咽頭から、喉頭・気管が分かれる理由である。
 現状の生理的な機能から見ると、消化と呼吸には大きな隔たりがあるが、最終目的のATP生成のための進化と考えると納得できる。

 また吸収系という器官だけでなく、人間においては、二足歩行により解放された「手」による「料理」という機能も忘れてはならない。脳機能の発達をベースにしたこの高度な機能は、「火」や「道具」の使用により、消化機能を補助し、多くのものを消化することを可能にした(頭進)。人間における吸収機能においては、こうした動物的機能もまた非常に重要なものとなる。

 呼吸に関してはATP産生に不可欠な酸素の取入れを行うとともに、腎臓とともに酸塩基平衡を担う。つまり内部環境の調整に大きな役割を果たすのである。加えて、呼吸運動は、無意識に行われ、不随意的であるが、横紋筋支配によるため意識により随意的でもある。これにより、植物的機能への意識の介入が可能になる。つまりこれもまた動物的機能の植物的機能への介入とみることができる。これが呼吸法の意義である。

 消化と呼吸を吸収系として捉えた場合、両者の境界に生じる問題もまた忘れてはならない。つまり口腔においては共通していた食物の道と、空気の道が交差することになるのである。一方では、これが発声を可能にしているのだが、同時に合流時のトラブルといえる「誤嚥」をもたらす構造的弱点にもなった。つまり我々は「声」を得る代償として、誤嚥性肺炎という老齢期におけるリスクを背負うこととなったのである。何事にも得るものがあれば、失うものがある、ということだろうか。


<消化器のポイント>
・消化管概略

消化管は、口腔、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸)からなる。

・嚥下
嚥下は、第1相(口腔相)、第2相(咽頭相)、第3相(食道相)にわけられる。

・食道・胃・小腸・大腸の仕組み
食道には3か所の生理的狭窄がある。胃の筋層は、外縦層、中輪層、内斜層の3層からなる。小腸には異物に対する関門の役割としてリンパ小節があり、特に回腸で発達して、これを集合リンパ節(パイエル板)という。大腸は1.5メートルほどの消化管。

・肝・胆・膵・腹部血管(腹部動脈・門脈)
そもそもは消化管の近傍に位置して、栄養の蓄積や消化液の分泌機能をになっていたもの、という視点。そのために、腸管の栄養素を運ぶ門脈は、肝臓へと収束される。

・代謝の仕組み、三大栄養素、栄養
糖質、脂質、タンパク質の小腸での吸収。解糖系、クエン酸回路、電子伝達系といった代謝経路への、グルコース、脂肪酸、グリセロール、アミノ酸の流入。ケトン体の生成。ビタミン、ミネラルの働き。

 
<呼吸器>
・肺のしくみ
気管、気管支、肺胞の構造。肺葉と肺区域。胸膜と胸膜腔。

・内呼吸と外呼吸
肺胞と毛細血管網。ガス交換の仕組み。

・呼吸機能とその調節
横隔膜と肋間筋による呼吸運動。スパイログラム。呼吸中枢(延髄)。化学的調節には脳脊髄液のpHを感受する中枢性化学受容体と、pO2、pCO2、pHの情報を送る頸動脈小体、大動脈小体といった末梢性化学受容体がある。

・発声
声帯の振動により発声。声の高さは喉頭筋(反回神経)の働きによる。



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