2020年12月18日

岩田健太郎先生の『僕がPCR原理主義に反対する理由』ご紹介

 「GoTo」が一時停止となり、感染者数も着実に増加してきております。あわせて空気も乾燥し、インフルエンザとのダブルでの流行も懸念されています。
 こうしたなか、うがい・手洗いの徹底は言うまでもありませんが、加えて、鼻腔と上咽頭の洗浄となる「鼻うがい」もぜひ挑戦されることをお勧めします。ウイルスの上咽頭への付着が指摘され、通常のうがいでは届きにくい場所だけに「鼻うがい」は冬の感染症対策に不可欠です。

 こうした予防策もさることながら、人々の不安の声におされて民間会社でのPCR検査も増えてきているようです。これまで我々も「ジャングルカフェ」などにおいて、PCR検査の重要性と問題点などをいろいろと話し合ったりしてきましたが、この問題の根底にはいわゆる「検査総論」の問題が絡んでくるところが、分かりにくい理由の一つでもあります。

 こうした検査の解釈にあたっての問題を取り上げ、(なるべく)分かり易く解説してくれている本を紹介します。出たばかりの新刊です。
 私と同世代ながら、若くして神戸大学の感染症の教授に就任し、若手ドクターのカリスマ的存在である岩田健太郎先生の『僕がPCR原理主義に反対する理由』です。ダイアモンドプリンセスでご存知の方も多いことでしょう。
 教条的な現在のPCRへの風潮に対して、多元的な姿勢をバランスよく展開されています。岩田先生は感染症における「CRP」検査(PCRではありません!念のため)への問題提起などを積極的にされていただけに、本書での指摘も、そうした流れにあるものといえるでしょう。
 ただし、疑陽性や偽陰性の問題、ベイズの定理の理解など、なかなか理解しにくい問題を扱っているので、スッと理解できるという感じではないでしょうが、検査の解釈問題は医学における根本的な問題の一つですので、関心のある方にはおススメです。





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