2021年09月28日

解剖生理に立ち返る (5)伝達系

 受容系と運動系とを伝達する、神経細胞の「鎖」である。この鎖の末端で、外界からの刺激を受けるところが受容系であり、伝わった刺激を運動へと変換するのが実施系とすると、その中間にある媒体が神経系(伝達系)ということになる。

 大きく分けると、受容系からの刺激を知覚性の末梢神経が伝達し、情報の介在・処理を行う中枢神経を経由して、運動性の末梢神経を介して実施系の筋肉へと伝わっていく。
 受容系から実施系への介在となる神経細胞が次々と連鎖して、進化の過程で変化し構造化したものが中枢神経系である。

 中枢神経は、感覚器との関連で、前・中・後脳が形成され(鼻ー前脳、眼ー中脳、耳ー後脳)それよりも後方の部分である脊髄と区別され、人間の中枢神経の原型を成す。感覚系からの情報は、統合され感覚中枢と運動中枢が形成されるが、これらの場所が進化の過程で、後脳(原始魚類)→中脳(高等魚類・鳥類)→前脳(哺乳類)と、次第に「頭進」し、前脳が極度に発達して大脳半球が形成される。

 中枢神経は脊髄から発生し、そこから延びる脊髄神経は内臓や体壁の動脈に絡みつきながら末梢に至る。進化により首や手足の発達とともに、これらは「神経叢」を形成しながら皮膚や筋肉へと延びていくのである。

 続く「延髄」は、鰓脳として発生し、鰓弓神経(三叉・顔面・舌咽・迷走神経)が出入りする。これらは植物性運動のみならず、表現運動においても重要な働きを有する。また植物性過程の後半部は仙髄に中枢があり、骨盤内臓神経により排尿や排便などを司り、延髄と極性の関係を持つ。

 延髄の背側部には、平衡をとり運動を円滑に行うために「小脳」が発達する。これは延髄の動物性知覚部ともいえる。小脳(耳脳)は、胴体に関連した旧小脳が、四足に関連した小脳半球・新小脳に挟まれて小脳虫部を形成している。また随意運動を行う人類では小脳と大脳との連結が強まり、「橋」が発達してくる。延髄と小脳を併せて「後脳」という。

 続く「中脳」は視覚器に関連し眼脳といえる。魚類と鳥類では視索が中脳半球に収束しているが、哺乳類になると視索の大部分は「間脳」に終わり、中脳半球は上丘へと退化し、聴覚を中継する下丘とともに四丘体を形成する。また中脳被蓋には運動に関連した「赤核」や「黒質」が現れ、大脳からの伝導路(大脳脚)が大きく発達することになる。

 前脳は鼻に関連し鼻脳ともいえ、嗅脳と嗅球からなる。これが爬虫類において著明に変化し、嗅覚以外の全ての感覚が一つの場に集合し、「新皮質」が形成される。これが哺乳類では左右に膨大し、ここから脊髄まで一気に下がる随意運動の経路である錐体路が完成する。一方で嗅脳としてあった古皮質は、新皮質の陰で見えなくなり、「大脳辺縁系」として植物性過程の中枢となる。

 以上が三木成夫の解説を軸にした神経系の発達段階であり、文字のみであると分かりにくいが、複雑な構造を有する中枢神経系を理解するには、こうした進化の視点からアトラスなどを併用しながら理解するのが最もわかりやすいだろうと思う。
 

<神経>
神経線維と伝達物質
神経線維(Aαβγδ、B、C)、代表的神経伝達物質(アセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミン、ヒスタミン、グルタミン酸、GABA、サブスタンスP)

中枢神経
大脳半球、大脳皮質、大脳髄質、大脳基底核、間脳、中脳、橋、延髄、脳幹網様体、小脳、脊髄

伝導路
遠心性:錐体路(皮質脊髄路・皮質延髄路)、錐体外路(網様体脊髄路・前庭脊髄路・赤核脊髄路・視蓋脊髄路)
求心性:温痛覚(外側脊髄視床路)振動覚・位置覚(意識型深部感覚)、小脳系(非意識型深部感覚・脊髄小脳路)

脳血液循環
大脳の動脈分布、脳底動脈とウィリス動脈輪、脳の静脈分布、

末梢神経
脳神経:三大感覚(機Ν供Ν次法運動神経相当(掘Ν検Ν此Ⅻ)、鰓器官(后Ν察Ν宗Ν勝Ⅺ)
末梢神経:前根・後根とベル・マジャンディの法則、前枝・後枝とデルマトーム、脊髄神経叢
自律神経:交感神経、副交感神経、内臓痛覚、内臓感覚(頸動脈洞・頸動脈小体を含む)、腸管神経系



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