2021年12月20日

第25回統合医療学会 佐藤純一先生のご講演

 週末は、統合医療学会のオンデマンド配信を、ジャングルカンファレンスの仲間たちで視聴しておりました。LIVE配信は時間の制限がありますので、各自での視聴となったのですが、やはり講演は供覧してから感想を言い合ったりすることで理解が深まりますね。

 とりわけ今回の配信では、佐藤純一先生の医療社会学からの講演がとても印象的でした。わが国における1970年代からの代替医療の受け入れから始まり、現在の統合医療運動に至る流れを、批判的な視点で振り返っていました。

 これらを概観して痛感したのが、自分史との強烈な相関です。70年代に生まれ、気功や中医学の流入をみながら、オウム関連事件の90年代に医師として歩み始め、2000年あたりからの「統合医療」ムーブメントに合流していくという流れです。
 こうした中で、私も渥美和彦先生のご自宅で開催された統合医療の若手の会的な会合に参加させていただきました。折しも、鳩山政権での統合医療への言及などにより統合医療運動は活発になりますが、それに呼応するかのようにホメオパシーバッシングなどの逆風が吹きます。
 現在はこうした逆風も、当事者以外はほぼ忘れられているような状況ですが、あらためて議論というより、時代の雰囲気で「流れ」は決まることを感じます。

 講演では統合医療の運動や概念が勃興したあたりの、根本的な議論がいまだ未解決である点、そこでの根本問題を真正面から取り上げず現在に至る点が強調されていました。
 確かに当時は、渥美先生の肝いりもあったのか医療人類学的、医学哲学的な視点の講演がたくさん企画されていました。但し、当時も、その議論がかみ合っていたかは別問題ですが(笑)。

 日々の診療の中で、ついつい全体を俯瞰する視点を忘れがちなのですが、久々に見通しのきく視点を教示して頂けた、面白い講演でした。
 (但し、本講演においてきわめて残念だったのは、たとえ引用だったにせよ「真義的統合医療」などという安直な用語を無批判に用いている点であり、シニカルで鳴らした異端の教授らしからぬ甘々な姿勢であることはここに指摘しておこう)


文化現象としての癒し―民間医療の現在
野村 一夫
メディカ出版
2000-11-01



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