2022年01月24日
統合医療臨床の実際 栄養療法とホメオパシーの併用
今回は、統合医療臨床の実際例をご紹介しましょう。
50代女性、冷えのぼせ、動悸、不眠、イライラ感、などの更年期障害を主訴に来院されました。
当院受診前も、同症状にて漢方専門クリニックにて漢方処方(加味逍遙散・当帰芍薬散・抑肝散・酸棗仁湯等)、ならびに鍼灸院にて鍼灸治療を継続していたが、症状の改善が認められないため、当院を来院されました。
まずは栄養状態のチェック希望でしたので、食事内容の記録表に加え、採血検査にてビタミン・ミネラルの栄養チェックを行いました。
結果から、鉄・亜鉛・ビタミンD等の栄養素が少なく、主訴との関連も強く示唆されたため、サプリメントにて補充をおすすめしました。
時に困っていた動悸に関しては、循環器専門の他院にて既に精査されていましたが、特に問題なしとのことでしたので、コエンザイムQ10(還元型)を通常量より増量して処方しました。
さらに食事内容でも、タンパク質の摂取が少なかったので、改善するよう指導しましたが、なかなか増量できないということでしたので、プロテインでの摂取をおすすめしました。
これらの栄養補充、さらには食事内容の改善に積極的に取り組まれたことにより、冷えのぼせ、動悸、イライラ感が改善され、自覚的にかなり元気も出てきたようでした。とくに動悸に関しては、心臓の病気ではないかと精査してからも心配が続いていたことから、コエンザイムをはじめとした栄養が原因だったこともわかり、たいへんよろこばれていました。
しかし、数回の診療のなかで問診を進めていくと、家庭内、とくに夫への不満が強くあるようで、それによる機嫌の悪さから、症状の悪化が始まったようでした。従来、エアロビなど体を激しく動かす運動が好きで、これによりストレスの発散を行っていましたが、コロナ禍において、発散も十分にできなかったことが今回の症状悪化の主な原因と推測されました。
こうしたベースがあることから、再度、増悪してしまうことも考えられ、加えて、睡眠状態の改善は今一つだったこともあり、ホメオパシーをおすすめしたところ、大変興味あるということだったので、レメディを試してみることになりました。
問診内容と症状の経過などから、レパートリゼーションを施行し、ヨーロッパコウイカ由来のSepia30Cを選択し、1日1粒3日間、連続投与しました。
これにより、毎日の気持ちがとても楽になり、家族への対応もイライラせずにできるようになり、体調全部が良くなったような感じと表現されていました。また睡眠状態も著明に改善し、中途覚醒、早朝覚醒がなくなり、熟眠感を得られるようになったとのことでした。
更年期女性の諸症状に対しては、漢方や鍼灸といった東洋医学的な方法論が一般的ですが、この例にもあるように栄養(とくに蛋白やミネラル)の不足が、実は大きな原因となっていることも少なくありません。
また、治療者側の東洋医学への愛着が、かえってサプリメントなどの栄養補充アプローチへのアクセスに待ったをかけてしまっているケースも、現代の日本では少なくないように感じます。(実は統合医療における現状の大きな問題の一つと考えています)
漢方に関しては20年ほど前に、私が漢方外来を開始した時に感じたような、医師による漢方や東洋医学への偏見などはほぼ消失しているように思いますが、その他の代替医療(例えばホメオパシーなど)に対してはまだまだの状況です。
とりわけ欧米諸国でのホメオパシーの復権にもかかわらず、わが国では医師の偏見と無理解はまだまだ強いと言わざるを得ません。
本例をはじめとしていわゆる不定愁訴に対しては、ホメオパシーの著効する例も稀ではないので、そうしたケースも今後、またここでご紹介していきたいと思います。
代替医療というと東洋医学系がどうしてもメインになりますが、それ以外にも多くの方法があることを知っていただきたいと思い、こうした例を紹介しました。
50代女性、冷えのぼせ、動悸、不眠、イライラ感、などの更年期障害を主訴に来院されました。
当院受診前も、同症状にて漢方専門クリニックにて漢方処方(加味逍遙散・当帰芍薬散・抑肝散・酸棗仁湯等)、ならびに鍼灸院にて鍼灸治療を継続していたが、症状の改善が認められないため、当院を来院されました。
まずは栄養状態のチェック希望でしたので、食事内容の記録表に加え、採血検査にてビタミン・ミネラルの栄養チェックを行いました。
結果から、鉄・亜鉛・ビタミンD等の栄養素が少なく、主訴との関連も強く示唆されたため、サプリメントにて補充をおすすめしました。
時に困っていた動悸に関しては、循環器専門の他院にて既に精査されていましたが、特に問題なしとのことでしたので、コエンザイムQ10(還元型)を通常量より増量して処方しました。
さらに食事内容でも、タンパク質の摂取が少なかったので、改善するよう指導しましたが、なかなか増量できないということでしたので、プロテインでの摂取をおすすめしました。
これらの栄養補充、さらには食事内容の改善に積極的に取り組まれたことにより、冷えのぼせ、動悸、イライラ感が改善され、自覚的にかなり元気も出てきたようでした。とくに動悸に関しては、心臓の病気ではないかと精査してからも心配が続いていたことから、コエンザイムをはじめとした栄養が原因だったこともわかり、たいへんよろこばれていました。
しかし、数回の診療のなかで問診を進めていくと、家庭内、とくに夫への不満が強くあるようで、それによる機嫌の悪さから、症状の悪化が始まったようでした。従来、エアロビなど体を激しく動かす運動が好きで、これによりストレスの発散を行っていましたが、コロナ禍において、発散も十分にできなかったことが今回の症状悪化の主な原因と推測されました。
こうしたベースがあることから、再度、増悪してしまうことも考えられ、加えて、睡眠状態の改善は今一つだったこともあり、ホメオパシーをおすすめしたところ、大変興味あるということだったので、レメディを試してみることになりました。
問診内容と症状の経過などから、レパートリゼーションを施行し、ヨーロッパコウイカ由来のSepia30Cを選択し、1日1粒3日間、連続投与しました。
これにより、毎日の気持ちがとても楽になり、家族への対応もイライラせずにできるようになり、体調全部が良くなったような感じと表現されていました。また睡眠状態も著明に改善し、中途覚醒、早朝覚醒がなくなり、熟眠感を得られるようになったとのことでした。
更年期女性の諸症状に対しては、漢方や鍼灸といった東洋医学的な方法論が一般的ですが、この例にもあるように栄養(とくに蛋白やミネラル)の不足が、実は大きな原因となっていることも少なくありません。
また、治療者側の東洋医学への愛着が、かえってサプリメントなどの栄養補充アプローチへのアクセスに待ったをかけてしまっているケースも、現代の日本では少なくないように感じます。(実は統合医療における現状の大きな問題の一つと考えています)
漢方に関しては20年ほど前に、私が漢方外来を開始した時に感じたような、医師による漢方や東洋医学への偏見などはほぼ消失しているように思いますが、その他の代替医療(例えばホメオパシーなど)に対してはまだまだの状況です。
とりわけ欧米諸国でのホメオパシーの復権にもかかわらず、わが国では医師の偏見と無理解はまだまだ強いと言わざるを得ません。
本例をはじめとしていわゆる不定愁訴に対しては、ホメオパシーの著効する例も稀ではないので、そうしたケースも今後、またここでご紹介していきたいと思います。
代替医療というと東洋医学系がどうしてもメインになりますが、それ以外にも多くの方法があることを知っていただきたいと思い、こうした例を紹介しました。