2022年12月20日

ファシアについてのシンポジウムが統合医療学会で開催されました

 週末はオンライン開催での統合医療学会でした。今回は一般発表は、内輪からは出しませんでしたが、一日目は「ファシア:東西医学の架け橋」と二日目「実践ジャングルカンファレンス」の2つを企画し、共に成功裏に終わりました。

 ファシアについてのシンポジウムは当学会では初めての企画で、これまで取り上げてこなかったのが不思議なくらいのテーマです。須田万勢先生と上馬塲和夫先生に私を加えた3人で、各々の得意分野からファシアの現状を繙いてみました。

 須田先生からは、昨今のエビデンスや整形内科学会での研究のが現況、さらには先生の考えるファシア像まで幅広く興味深いテーマが講演されました。上馬塲先生のご講演では、ファシアの病態評価のためのコラーゲン検査の可能性に加え、アーユルヴェーダ理論との関連性、さらには先生の展開するバトソン静脈叢の意義から発想した「静脈ハブ理論」まで、実に充実した内容でした。その後の総合討論も、通常のシンポジウムに見られがちな盛り上がらない討論ではなく、シンポジスト間の質問が飛び交う、あついシンポジウムとなりました。
 とくに印象的だったのが、須田先生が質問されたハイドロリリースでうまくいかないケースに関しての血液の鬱滞の可能性(コンパートメント症候群との関連性)について。つまり内圧が高まった病態においてはハイドロリリースによって悪化する可能性と、その鑑別j方法についてです。
 私の臨床的な感覚では、病態についての質問内容吟味に加えて、やはり刺絡をかけたときの出血の様子です。年に数回おめにかかる吹き出すような刺絡による出血のケースでは、かなりの内圧が上昇している病態が推測されます。つまりこうした環境に生理食塩水を注入することは、その圧力自体を増してしまう可能性があるので、当然病態も悪化しうるわけです。こうした実際臨床に沿った討論が、実際の経験豊富な先生方とできたというのが大きな収穫となりました。

 ジャングルカンファレンスの実践も非常に良い体験となりましたが、こちらについてはまた後日、改めて述べたいと思います。

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痛み探偵の事件簿 炎症?非炎症?古今東西の医学を駆使して筋骨格痛の真犯人を暴け! ─ 電子版付 ─
須田万勢(諏訪中央病院リウマチ膠原病内科)
日本医事新報社
2021-10-24






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