統合医療各論:鍼灸

鍼灸のエビデンス

 鍼灸について、原稿を書いていたので、EBMの観点から見直してみたいと思います。「刺す」という行為のため、なかなか薬剤とちがってランダム化比較試験しにくい治療法ですが、「偽鍼」などを用いて着実にエビデンスが蓄積されつつあります。

 米国国立衛生研究所(NIH)の合意声明書においては、鍼が有効であるという有望な結果が得られているものとして、術後や薬物療法時の嘔気・嘔吐、歯科の術後痛、妊娠時の悪阻、が挙げられています。 また、英国医師会の報告書においては、背部痛、歯痛、片頭痛、嘔気・嘔吐に関しては適切な患者さんに適応できるエビデンスがある、とされています。

 一方ではこうした検証では、あまりに治療手法が単純化されているという批判もあり、鍼本来の研究としての問題点も指摘されています。しかし、「気」や「経絡」といった、いかにも代替医療という概念を用いた鍼灸にこれだけのエビデンスが蓄積しつつあるというのは、これからの統合医療発展に大きな力となるでしょう。統合医療研究のさらなる発展が期待されますね。


tougouiryo at 2007年03月15日16:45|この記事のURLComments(0)

鍼灸

  わが国において、漢方と双璧をなすCAMはいうまでもなく「鍼灸」である。アメリカでは中国伝統医学(TCM)として、漢方薬と一緒に扱われることが多いが、日本では、漢方は医師・薬剤師、鍼灸は鍼灸師、と分かれているのが一般的である。統合医療時代の鍼灸は、その即効性をふくめた特殊性の中で、非常に重要な位置をしめるであろうと思われる。

漢方とは違って、体の局所へ選択的に作用させることが可能であり、かつ全身調整としても有効である。具体的には、毎日の健康維持、免疫力の向上、肩・腰・膝の痛み、など実に幅広く対応可能である。また施術者が直接的に、患者さんに影響を及ぼすことができるという点も大きい。日々の痛みなどの不調から、免疫向上まで、広いニーズを満たす鍼灸は、わが国の統合医療発展に不可欠の存在であるといえよう。

 

メカニズム

経絡という独特のシステムを介して、局所の他に、自律神経系、免疫系、内分泌系へ幅広く作用。

 

メリット

体の局所治療に適する上に、全身調整も行うことができる。施術者とのコンタクトがある。


tougouiryo at 2006年07月28日18:24|この記事のURL