統合医療各論:漢方講座の紹介

統合医療的漢方講座の紹介

 ここでは、私が主に担当している漢方講座の概略を紹介する中で、統合医療における漢方のあり方を考えてみたいと思います。内容的には、女性薬剤師を主な対象とした初心者向き「漢方入門講座」です。講義のあらましをご紹介します。

http://www.dayspa.co.jp/seminar/course3.html 

 

1回:東洋医学概論

統合医療から見た東洋医学概論を以下のようなポイントで解説していく

(1)   相補代替医療と統合医療(漢方は代替医療?)

(2)   薬剤師にとっての統合医療のあり方

(3)   代替医療先進国アメリカでの統合医療の現在

(4)   「西洋医学」と「漢方」の視点の相違

(5)   「漢方」は独立した存在なのか(他の伝統医学との関連は?)

統合医療としての漢方の枠組みを総論的に解説していく内容。

 

2回:漢方の生体のとらえ方<1>(気血水と五臓)

相補代替医療・伝統医療に広く共通する概念である「気」を中心に、漢方独自の生体観を紹介する。気血水と五臓を用いて人間を観察するきっかけを作りながら、現代医療とは別な視点があることを学習する。またこうした伝統医学的概念を、現代医療的に考えられるようにしたい。

(処方紹介1)桂枝湯・麻黄湯・葛根湯の解説

 

3回:漢方の生体のとらえ方<2>(五臓六腑と六病位)

前回に引き続き、漢方的な生体把握法に慣れるようにする。今回は、五臓六腑と六病位を中心に学習する。また六病位から、疾病に対する生体の反応を「健康生成論」の立場から俯瞰する。次回からの診察法の準備も合わせて行う。

(処方紹介2)桂枝湯からの展開

 

4回:実践!漢方診察法

自己観察からスタートして、具体的な体験として診察法を学習する。脈・舌・腹の観察から東洋医学での生体の見方を実践的に学習し、伝統医学的な視点に慣れる。

(処方紹介3)女性のための3処方の紹介

 

5回:女性3処方を基礎とした頻用処方解説

 前回学習した女性3処方を基礎として、気血水を具体的な生薬の観点から復習しながら、よく使われる処方を解説する。ただの暗記にならないように、それぞれの処方の持つ意義を考えながら解説する実践的内容。多数の処方解説を行う。

 

6回:生薬の総括と漢方学習法

 これまで学習してきた漢方の総論的内容を、生薬の観点からもう一度復習する中で、各処方のもつ意味を再考する。また実践的に漢方相談を行うにあたっての注意点もあわせて学習する。あわせて、他の相補代替医療との併用のポイントも統合医療の観点から解説する。総括として、講座終了後の漢方の学習をどうやっていくべきか、質問形式での解説も行う。

 

 

講座全体として…

講座全体としては、実際にテイスティングやカウンセリングの実践もあり、実践的な内容がふんだんに取り込まれている講座です。また学習にあたっては、パターン認識に終始するのではなく、漢方的発想で考えることができるように講義していきます。そうした中で、広く伝統医療的な視点をもつことができることを目的とし、統合医療的薬剤師を育成したいと考えております。


tougouiryo at 2006年07月25日22:58|この記事のURL